自転車事故
1)自転車事故の発生状況
全国の自転車事故の発生状況をみると自転車事故自体は減少しています。しかし、一定の人口当たりの発生割合をみると未成年者は他の年齢層と比べて発生割合が高く、自転車事故の当事者になる可能性が高くなっています。
2)高額な損害賠償事例
小学生が夜間、自転車を走行中、高齢の女性と衝突し、被害者が植物状態になって意識が戻らなかった事例では、約9500万円の賠償金の支払いが命じられました。
このように自転車事故とはいえ、被害者に重大な被害が発生した場合には、極めて高額な賠償金支払義務を負うことになります。
3)賠償金の請求先
1)未成年者でも責任能力があれば、賠償金の支払い義務が生じます。責任能力はおおよそ12歳くらいが目安だとされています。
したがって、加害者が12歳以下の未成年の場合には、責任能力が認められず、親権者に対して監督責任に基づく責任を追及することになります。
2)通勤中または仕事中に自転車事故に遭った場合には、労災保険を利用し、治療費や休業損害などの支払いを受けることになります。
4)自転車事故に遭われた方に
1)自転車事故で怪我をした場合は、必ず警察に通報して人身事故として届け出てください。また必ず診療機関で診察を受けてください。
2)加害者が個人賠償責任保険に入っているか確認してください。加害者のクレジットカードに附帯していたり、自動車の任意保険に特約としてついていることがあります。
3)交通事故による後遺症は、損害保険料率算出機構で認定されますが、自転車事故の場合、この機関で審査を受けることができません。
したがって、後遺障害の有無や等級が争いになった場合には、加害者に対し訴訟を提起して裁判所の判断を求める必要があり、被害者の負担が大きくなります。
4)当事者間で過失割合、損害の範囲、賠償金の算定、後遺障害の有無など様々な問題が争いになる可能性がありますので、できる限り早く弁護士に相談することをお勧めします。