[2020.08.31]
コラム
交通事故により後遺障害が残った場合、慰謝料や逸失利益として賠償金を請求することができますが、その他、福祉サービスを受けられる制度が設けられていますので、紹介します。
1 障害福祉サービス
障害者の自立した生活を支援するもので、①自立支援給付と②地域生活支援事業があります。
① 自立支援給付
介護給付:ホームヘルプ、重度訪…
道路に駐停車中の車に対し後続車が追突した場合、原則として過失割合は、後続車の過失が100%となり、駐停車していた車の過失は認められません。
ただし、駐停車していた車にも過失が認められる場合があります。
① 視界が不良な場合
降雨、濃霧、夜間で街灯がなく暗いところなど視界が不良な場合、駐停車車両を発見することが難しいため、駐停車車両にも10%の過失が認められます…
[2020.08.19]
1 素因減額とは、被害者の既往症や身体的特徴、心因的要因が、交通事故による損害の発生や拡大に影響している場合、損害賠償額の算定にあたって減額することをいいます。
素因には心因的素因と体質的素因がありますが、今回は体質的素因について取り上げます。
2 最高裁判所は、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない…
[2020.08.11]
症状固定日がいつなのか、争いになることがあります。一般的には、後遺障害診断書に症状固定日と記載された日が、症状固定日とされることが多いのですが、症状固定日が問題になった場合、裁判では、
① 傷害及び症状の内容(例えば、神経症状のみか)
② 症状の推移(例えば、治療による改善の有無、一進一退か)
③ 治療・処置の内容(例えば、治療…
[2020.07.29]
事故直後、身体を怪我したにもかかわらず、痛みを感じないことがあります。事故による興奮状態から感覚が麻痺しているためです。ところが、数日経過してから首が痛む、肩が凝るなどのむちうちの症状が現れ、初めて受診される方がおられます。
通常であれば、事故直後の症状が最も重く、治療することで次第に症状が軽快していく経過をたどりますから、一定期間経過後に発症した場合は、事故との因果関係を疑…
[2020.07.13]
1 交通事故の過失割合を判断するに当たり「優者危険負担の原則」という考え方があります。
例えば、危険性の高い自動車と弱い歩行者が事故を起こせば、通常、歩行者の方に大きな損害が発生しますので、「優者」である自動車に大きな注意義務が課されることになります。
2 道路を横断している歩行者と自動車の事故の過失割合を見てみましょう。
(1)横断歩道を横断…
[2020.07.02]
1 外貌醜状とは
頭部、顔面部、頸部など日常的に露出する部分に傷跡が残ることをいいます。傷跡ですから運動機能の障害にならないこともありますが、傷跡が残った部位によっては心理的に社会生活に支障を及ぼします。したがって、後遺障害として認定されるには、傷跡が人目に付く程度以上のものである場合に限られることになります。
外貌醜状は傷跡のある部位と大きさに…
[2020.06.17]
1 慰謝料の金額は、
①死亡事故の場合は、被害者の家庭における地位
②傷害事故の場合は、入通院期間と傷害の部位、程度
③後遺障害の場合は、認定された後遺障害等級
によって決められる傾向にあります。
しかし、個別の事故状況等が全く考慮されないわけではなく、
① 事故態様、加害者の過失
② 加害者の事故後の不…
[2020.06.09]
1 労働能力喪失期間の始期は、症状固定日です。後遺症は、被害者が亡くなるまで永続するものと考えられますが、労働能力喪失期間の終期は、就労が可能な年齢、原則として67歳までとされています。
しかし、後遺障害の症状によっては、この労働能力喪失期間が制限されることがあります。
2 裁判実務で広く利用されている通称「赤い本」によれば、むち打ち症の場合、12級で1…
[2020.06.03]
1 被害者が交通事故を原因として一定の利益を得た場合、その利益の額が損害賠償金から差し引かれることがあります。これを損益相殺といいます。
例えば、労災による保険給付は、原則として損害額から控除されます。
2 それでは、加害者が支払った香典も損益相殺の対象になるのでしょうか。
香典が社交上の儀礼として相当な範囲であれば、損害額から控除され…
[2020.06.03]