後遺障害
1)後遺障害とは
1)後遺障害とは、交通事故が原因であることが医学的に証明できる後遺症で、労働能力の低下が認められ、その程度が自賠責保険で定められた「後遺障害等級」に該当するものをいいます。後遺障害等級は、部位や程度によって1級から14級までの等級と140種類、35系統の後遺障害に細かく分類されます。
2)後遺障害が認定されると後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。
1.後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことにより生じた肉体的・精神的苦痛に対する賠償金です。
2.後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより、働けなくなった、あるいは労働能力が低下したために、本来得られていたはずの収入が得られなくなった損害をいいます。
2)賠償金の請求
◎自賠責保険に請求する場合
自賠責保険では、等級に従って保険金額が定められており、例えば、14級だと75万円になっています。自賠責保険は、被害者の必要最低限の救済を目的とした制度ですので、後遺障害慰謝料や逸失利益などの合計額が限度額を上回ってもこの限度額までしか支払われません。
◎任意保険に請求する場合
この場合は、後遺障害慰謝料と逸失利益に分けて計算して請求します。
① 後遺障害慰謝料
弁護士が賠償金を請求する際は、通常、裁判基準で請求します。裁判基準では1級が2800万円、14級で110万円になっています。
② 後遺障害逸失利益
逸失利益の計算式は次のとおりです。
基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数
1)基礎収入は、事故前の収入を基礎に算定します。
2)労働能力喪失率は、1級から3級が100%、14級だと5%とされています。
3)被害者は、将来、長期間にわたって取得するはずであった利益を一時金で受け取ることになります。そのため将来の利益を早く取得したことで得られる利益を控除することが認められており、ライプニッツ係数を基準として計算します。民法改正により数値が変更される可能性がありますので、注意してください。