将来介護費
1)将来介護費とは、交通事故によって重度の後遺障害が残って、日常で必要な動作をするのに、介護が必要となった場合の将来の介護費用です。
基本的には、常時介護を必要とする場合(後遺障害1級)と随時介護を必要とする場合(後遺障害2級)に限られます。常時介護を必要とする場合とは、完全に寝たきり状態で、食事・排泄・入浴等をすべて誰かの援助が必要な場合をいい、随時介護を必要とする場合とは、自分でできる動作もあるが、そのほとんどを誰かに援助してもらわないとできない場合をいいます。
なお、後遺障害3級以下でも、重度の高次脳機能障害が残ったような場合には認められることがあります。
2)将来介護費は、どのような内容の介護を受けるかによって金額が異なってきます。
① 自宅介護か施設介護か。
自宅で介護をする場合、バリアフリーにするための自宅改造費用や介護用のベッドなどの費用が必要になり、施設介護よりも高額になりますし、また家族の介護に対する負担も重く評価されます。
これに対し、施設介護の場合は、金銭的にも労力の点でも負担が軽くみられます。
② 家族が介護を行うか、職業付添人に依頼するか
自宅介護で職業付添人が認められるのは、医師の指示がある場合や24時間介護が必要で家族だけでは対応できない場合などです。裁判で職業付添人が必要であると認められた場合には、原則として現実の負担額を基準に算定されるのが一般的です。
これに対し、家族が介護を行う場合は、日額8000円程度が目安とされます。
3)将来の介護費の算定
介護費用の日額×365日×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数
25歳男性。職業付添人が介護を行ったことを前提として日額12000円で計算してみます。
1万2000円×365×18.6985=8189万9430円
となって、相当高額なものになります。保険会社はできるだけ低い金額を提示してきますので、専門家である弁護士によく相談したうえで示談に応じてください。