年金は逸失利益の対象として認められるか
逸失利益とは、被害者が亡くなっていなければ得られたであろう利益をいいます。亡くなった方が年金受給者であったとき、その年金収入に対しても逸失利益が認められるでしょうか。
年金が逸失利益と認められるかどうかは、①年金制度の目的、②保険料支払いと年金給付との間の対価性、③年金給付存続の確実性に基づいて判断されます。
国民年金は、当該年金受給者の損失補償ないし生活保障を目的とするものであり、その収入に生計を依存している家族との関係でも同一の機能を営んでいると認められるので、国民年金は逸失利益であると最高裁は認めています。最高裁は、国民年金以外にも、老齢厚生年金、地方公務員の退職年金、国家公務員の退職年金などにも逸失利益性を肯定しています。
これに対して遺族厚生年金は逸失利益に当たらないと最高裁は否定しました。遺族厚生年金は、受給権者自身の生計を維持するために所得の不足を補うという社会保障的性格が強い給付であることなどを理由としました。
逸失利益性が認められるか詳しくは弁護士にお尋ねください。
[2020.03.26]