加害者が自己破産を申し立てたらどうすればよいのか
1 交通事故の加害者が自動車保険に入っておらず、しかも自己破産の申立てをした場合でも加害者に責任追及できるのでしょうか。
破産法には、免責が認められない債権として、
① 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
② 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
が規定されています。これに該当すれば、たとえ自己破産したとしても責任追及できます。
「悪意」とは積極的に相手方を傷つけようとする害意と解されています。交通事故は通常、過失によるものであり、まずこれには該当しないでしょう。
「重大な過失」とは、無免許運転、酒酔い運転などの悪質なものに限られますが、悪質な違反については、重大な過失といえないか弁護士によく相談してください。
2 加害者に責任追及するためには、非免責債権か否か争う必要がありますが、破産裁判所は、免責債権か否か判断を行いません。
そこで、不法行為に基づく損害賠償請求事件として訴訟を提起する必要があります。当然、加害者は損害賠償債務が自己破産により免責されたと主張してきますので、非免責債権か否かを裁判で争い、裁判所に判断してもらうことになります。
[2020.06.03]