歩行者と自動車の過失割合
1 交通事故の過失割合を判断するに当たり「優者危険負担の原則」という考え方があります。
例えば、危険性の高い自動車と弱い歩行者が事故を起こせば、通常、歩行者の方に大きな損害が発生しますので、「優者」である自動車に大きな注意義務が課されることになります。
2 道路を横断している歩行者と自動車の事故の過失割合を見てみましょう。
(1)横断歩道を横断している歩行者がいる場合、自動車は横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げてはならないなどの義務が課されており、横断歩道では歩行者に強い保護が与えられています。
① 歩行者が青信号に従って横断を開始した場合、歩行者の過失は0です。
② 歩行者が赤信号で横断を開始し、自動車も赤信号で進入してきた場合、双方が信号無視をしているわけですが、優者危険負担の原則により自動車の責任が重く、歩行者:自動車=20:80の過失割合になります。
(2)横断歩道に信号機が設置されていない場合、歩行者は横断歩道上では絶対的に近い保護を受けるので、原則として歩行者の過失は問われません。
(3)横断歩道付近を横断した場合には、歩行者も過失が問われます。たとえ歩行者側が青信号で、自動車が赤進行で直進していたとしても、過失割合は、歩行者:自動車=0:100にはならず、歩行者にも過失が問われます。
[2020.07.02]