好意同乗と賠償金減額
好意同乗とは、運転手の同意によって家族や友人が無償で乗せてもらうことをいいます。
運転手の過失で同乗者が人身事故に遭った場合、無償で乗せてもらったのに損害を全額運転手に請求するのは、公平に反するという理由で、古い判例は好意同乗による減額を認めていました。
しかし、最近の判例は単なる好意同乗だけでは減額しない傾向にあります。ただし、好意同乗者が事故発生の危険な運転状態を容認したり、危険な運転を助長・誘発したりしたなどの事情によっては、減額される場合があります。
例えば、裁判例によれば、次のような場合に減額されています。
① 運転手が無免許運転であることを認識していたとき
② 運転手が飲酒した状態で運転していることを承知で同乗したとき
③ 定員オーバーであることを承知で同乗したとき
このように好意同乗者にも事故の発生や損害の拡大につき非難すべき点があるときに限り減額が行われます。
したがって、そのような落ち度がないにもかかわらず、減額した賠償金の提示を受けたときは、弁護士に相談してください。
[2020.06.03]